○関川村監査基準実施要領

令和2年3月24日

監査要領第1号

実施要領は、監査委員が行うこととされている監査、検査、審査その他の行為を監査基準に沿って行うために、監査基準に規定する項目のうち、特に留意を要する事項に係る実務のあり方について、詳細な説明、具体例、望ましい実務を記載するものである。

今後、本実施要領に記載する項目については、必要に応じて追加や見直しを行うものである。

1.経済性、効率性かつ有効性の監査等

(1) 財務監査及び行政監査

地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第3項において、監査委員は、財務監査及び行政監査を行うに当たっては事務の執行及び経営に係る事業の管理が同法第2条第14項及び第15項の規定の趣旨に則ってなされているかどうかについて、特に、意を用いなければならないと規定されている。このことから、監査基準第2条第1項第1号及び第2号においても、同様に規定したところであり、事務の執行及び経営に係る事業の管理が、経済的(より少ない費用で実施すること)、効率的(同じ費用でより大きな成果を得ること、あるいは費用との対比で最大限の成果を得ること)かつ効果的(所期の目的を達成していること、また、効果を挙げていること)に行われているかについて監査することが求められる。(第2条第1項関係)

(2) 決算審査

決算審査については、監査基準において、決算その他関係書類が法令に適合し、かつ正確であるか審査することが求められているが、実施可能な地方公共団体においては、これに加え、予算の執行又は事業の経営が、経済的、効率的かつ効果的に行われているかについて審査することも考えられる。(第2条第1項関係)

(3) (1)及び(2)以外の監査等

(1)及び(2)以外の監査等についても、例えば、内部統制評価報告書審査において、長による評価手続が経済的、効率的かつ効果的に行われているかについて審査を行う等、可能な範囲で、経済的、効率的かつ効果的に行われているかについて監査等を行うことが考えられる。(第2条第1項関係)

2.議決による権利放棄に関する監査委員の意見

住民監査請求に係る行為又は怠る事実に関する損害賠償又は不当利得返還の請求権その他の権利の放棄に関する議決に係る監査委員の意見の決定については、財務会計行為の性質、長若しくは委員会の委員若しくは委員又は職員(以下「長等」という。)の帰責性の程度、当該権利の放棄による影響、長等の損害賠償責任の一部免責に関する条例を制定することが可能であることその他監査委員が必要と認める事項を考慮することが求められる。(第2条第2項関係)

3.リスクの識別、評価及び対応

効率的かつ効果的に監査等を実施するためには、監査等の対象のリスク(組織目的の達成を阻害する要因をいう。以下同じ。)を識別し、そのリスクの内容及び程度を評価した上で、自らの団体においてリスクが高い事務事業に監査資源を配分することが求められる。(第8条関係)

(1) リスクの識別

・自らの団体の事務手続の流れを基に、自らの団体においてリスクが存在する事務事業を優先的に特定

・自らの団体及び他団体においてリスクが顕在化した事案を基に、自らの団体において同様の事案があるかどうかを確認等の方法を活用して、監査委員は自らの団体のリスクを識別する。

監査等の結果として過去に指摘した事項から、自らの団体におけるリスクを識別することも考えられる。

なお、リスクの識別に当たっては、参考1「標準的な事務フローから想定されるリスク及び監査手続(以下「事務フロー」という。)」、参考2「各団体に共通するリスクが顕在化した事案集(以下「リスク事案集」という。)」が参考となる。

事務フローは、主な事務について、標準的な事務フローに沿って事務処理毎に想定されるリスクを抽出し、それぞれのリスク毎に想定される各部局の対応策を記載し、その確認に必要な監査手続を整理したものである。

リスク事案集は、過去に全国の地方公共団体においてリスクが顕在化した事案を事務処理毎に区分し、それを防ぐために必要であったと考えられる想定される対応策を記載し、その確認に必要な監査手続を整理したものである。

(2) リスクの評価

(1)により識別したリスクについて、量的重要性及び質的重要性を評価する。

量的重要性については、当該リスクが生じる可能性及び当該リスクがもたらす影響の大きさの観点から検討を行う。その際、当該リスクが生じる可能性については、高・中・低等、当該リスクがもたらす影響の大きさについては、大・中・小等と段階に分けて評価することも考えられる。金額としての影響を見積もることができるものについては、金額により、その他のものについては、例えば、総件数や総人数の一定割合といった一定の指標によることが考えられる。

質的重要性については、行政に求められる信頼性や公平性、住民の安全の確保等の観点から検討を行う。

(3) リスクへの対応

(2)により量的重要性及び質的重要性が高いと評価したリスクについては、その発現を看過する可能性を低い水準に抑えなくてはならない。そのため、監査の重点項目として、監査資源を優先的に配分した手続を実施することが必要となる。

他方、量的重要性及び質的重要性が低いリスクに対しては、合理的に監査資源を配分した手続によりリスクの発現を看過する可能性を低い水準に抑えることができるものと考えられる。

本要領は、令和2年4月1日から施行する。

関川村監査基準実施要領

令和2年3月24日 監査要領第1号

(令和2年4月1日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第4章 監査委員
沿革情報
令和2年3月24日 監査要領第1号